急性期血栓回収療法について

2018.01 ライフNo76 脳神経外科 本間 敏美

佐々木 卓也

脳卒中の約7割占める脳梗塞

脳梗塞は脳卒中の約7割を占めており、当院脳神経外科においても日常診療で遭遇することが多い疾患です。脳梗塞の中でも心房細動が原因となる脳塞栓症が多く見られるようになりました。脳卒中ガイドライン2015では脳梗塞に対して発症4.5時間以内であればt-PAという血栓溶解薬を点滴することがグレードAで推奨されております。

血栓回収デバイス24時間実施可能に

当院脳神経外科では2005年の薬事認可以来東胆振地方でいち早く導入し成果を上げてきました。しかし、内頸動脈、中大脳動脈水平部、脳底動脈等の太い主幹動脈閉塞例では血栓溶解剤のみでの再開通例は少なく、残念な結果になることも経験してきました。

2種類使い分け再開通率98%

血栓溶解薬のみでは溶解できない血栓に対して、近年血管内治療を追加して回収するデバイス開発がなされました。日本脳神経血管内治療専門医である私が当院脳神経外科に常勤したことで院内設備を整え、24時間365日実施可能となっており年々症例数が増加しております。

血栓回収デバイスにはステント型とペナンブラ型の2種類があります。ステント型は血栓内でステントという金属の網を展開して血栓を絡め取る方法で、ペナンブラ型はカテーテルで血栓を吸い取る方法です。それぞれ一長一短があり当院では症例によって使い分けている現状です。
当院における再開通率は98%と良好です。しかし、脳梗塞治療は時間との戦いで、再開通させることが早ければ早いほど脳の壊死範囲が減るので、症状が改善する率が高いことはよく知られております。

当院は平成29年8月より東胆振管内初の320列CTを導入しており、MRI撮影を省いて必要であれば速やかに血管内治療を行い、再開通時間の大きな短縮がなされ、予後良好例が増えております。

平成28年11月の日本脳神経血管内治療学会総会では急性期血栓回収術の効果は明らかであり、行うべき治療であり、広く普及させなければならないという神戸宣言がなされました。海外の臨床データでも有効性が証明され、海外のガイドラインでも行うべき、行わなければならない治療に位置づけられております。

治療は訓練受けた専門医常勤施設で

平成29年9月には日本脳卒中学会のガイドラインでは血管内治療がグレードAに格上げされ、適切な施設で適切な手技で行うことが条件ですが、行うべき治療となりました。しかし、脳神経外科医であれば誰でもできるものではありません。脳血管壁は薄く分岐が多いので、デバイスの扱いや特性を十分訓練した医師でなければ血管穿孔等の重大な合併症を起こすこともあります。また、治療手技に慣れている医師が行うことで治療が早く完結するほど予後が良いです。これらの点から日本脳神経血管内治療学会専門医が常勤している施設で行うのが良いと考えます。
当院では日本救急医学会専門医/日本脳卒中学会専門医/日本脳神経血管内治療専門医でもある私が初療から治療をしますので、時間を逸することなく治療が可能です。


図1:治療前(右上の血管に詰まりあり)


図2:治療後(右側の血管が再開通)


図3:除去された血栓