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王子総合病院

わかりやすい医学教室

子供の発熱

子供はすぐに熱を出します。夜間に熱が出ると、どうしていいかわからなくなって慌てふためいてしまうもの。救急外来を受診すべきかどうか迷ったり、親御さんは何かと不安になったりするのではないでしょうか。

 

2000.01 らいふNo4 
小児科 江原 朗

発熱だけでは知能に影響しない

子供の熱が続くと、脳に影響して知能が低下してしまうと思ってはいませんか。もちろん脳炎や髄膜炎といった脳の病気で熱が出ているのであれば、知能に障害が出ることはあります。しかし、風邪で熱が出ても知能障害は起こりません。熱は、身体がバイ菌やウイルスをやっつけるためにわざわざ出すものです。もちろん熱のために食欲が落ちたり水分が取れなくなっては困るので、熱さましを使うことは良い方法ですが、発熱自体は身体にとって悪いことばかりではないのです。

熱さましは長くても数時間しかききません

熱さましは消炎鎮痛剤といって、身体の中の熱を出す物質を抑える薬です。しかし、熱の上がりがピークの時に使っても、40度が38度くらいにしか下がらず、2時間から3時間でまたあがってしまうでしょう。熱さましは病気の原因を抑える薬ではなく、熱を上げることを抑えるだけなのです。ですから熱さましを使いながら十分に水分を取らせ、また、氷枕で全身の体温を下げるようにしましょう。子供は氷枕をおでこにあてがっても静かにそのままではいてくれません。そこで、氷枕をタオルでくるんで身体にたすきがけしてみてはどうでしょうか。冷やすのは頭でなくても背中でも脇の下でもいいのです。

熱が出るとひきつけを起こすことがあります

生後6か月から6歳くらいの子供では、約20人に1人がひきつけを起こすといわれています。たいていは5分以内におさまりますが、もしそれ以上経過しても止まらないときには、救急車を呼んだほうがいいでしょう。5分以内のけいれんでは、知能障害が起きてしまうことはほとんどありません。また、口に何かをはさんで舌を保護する必要もありません。顔を横に向けて、吐いたものを気管に詰まらせないようにしましょう。止まった後も意識がはっきりしないような時には病院にかかってください。多くの場合、6歳を過ぎるころにはひきつけは起こさないようになるといわれています。また、一度起こしても再発する確率はそれほど高くはありません。

水分を十分とらせてください

親御さんは、病院に子供さんをお連れになる時には、熱が出たことを一番気にしておられます。しかし、熱が出たこと以上に大切なことは、熱が出たことで身体の水分が蒸発したり、食欲が低下したことで脱水症状が進むということです。熱さましを使って熱が下がったら、その間に少しでも水分を取らせてください。下痢をしていなければジュースでもコーラでもアイスクリームでもかまいません。水分を取らせるよう心がけましょう。

発熱が続いたら

発熱はほとんどの場合、4日から5日くらいで下がることが多いものです。ですから、7日以上発熱が続くようであれば、風邪以外の病気がかくれていることもあるので検査が必要になることがあります。しかし、原因ウイルスの違う風邪を次から次へとひいている場合もあります。保育園や幼稚園に通園し始めた当初は、1か月のうち、数日しか通えないということもよくあります。一般的には大人になるまでに、300回は風邪をひくといわれています。

発熱は子供たちがまず出会う症状で最も多いものです。落ち着いて子供さんの病気と付き合うよう努力していきましょう。


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