文字サイズ
背景色
  • お知らせ
  • フロアマップ
  • アクセス
  • お問い合わせ

王子総合病院

わかりやすい医学教室

スポーツ整形について

「せーんだんりーん、せんだんりん」、甲子園での駒澤高校の活躍も記憶に新しいことと思います。高校球児のひたむきな姿を通じて改めてスポーツの素晴らしさを感じた方も少なくないと思います。あまり知られてはいませんが、駒澤の快進撃の裏では多くの選手がスポーツ傷害に苦しんでいました。連日、うだるような暑さの中での試合、体を張ったプレイによるケガなどスポーツの栄光とスポーツ傷害はまさに表裏一体をなしていたのです。
スポーツといえば、最近ウオーキングやパークゴルフをされる高齢の方をよく見かけるようになりました。スポーツを「見るもの」から「するもの」ととらえるようになりつつあると感じます。スポーツは肉体だけでなく心をリラックスさせる良い影響を与える手段の一つでもあります。 しかし、残念なことですが、ケガをしたまま、コンディショニングが悪い状態でスポーツを行う場合も意外に多いのです。競ったり、楽しむどころか逆にスポーツ傷害に苦しむ場合も珍しくありません。スポーツ人口の急増に伴い、スポーツ傷害の正しい診断、治療の必要性が近年高まってきました。

 

2006.1 らいふNo31 
整形外科 島本 則道

スポーツ障害とは?

「スポーツ外傷」
ころんで捻ったり、タックルされて打ったといったいわゆるケガのことです。骨折・捻挫・靱帯損傷などがこれです。
例) 膝前十字靱帯損傷……膝を安定支持する重要な靱帯、膝をひねる外傷でなる危険がある。完全断裂の場合、スポーツパフォーマンスは低下する。特に膝くずれなどの症状が出やすい。
    
「スポーツ障害」
同じ動作をくり返して身体の一部分に何度も力がかかる、つまり使いすぎによって起こる障害のことです。腱鞘炎・オスグッド病・テニス肘などがこの代表です。
例) 野球肘……投げる動作では肘の内側に負担がかかりやすい。骨格・筋肉が未発達な小児期に過度の負担(投げすぎ)で生じやすい。放置した場合、重大な障害を残す危険がある。
最近の傾向として、勝利至上主義、大会重視によるハードスケジュール、我慢して試合や大会にでる選手が多いことがあります。これは、家族、指導者の期待の裏返しなのですが、その結果、スポーツ傷害は多発しています。

 

治療からスポーツ復帰へ

ふつう病院での治療はケガから回復し、日常生活が十分行うに足るまでで終了となります。しかし、スポーツ復帰には、そこからより以上の筋力回復やプレーできるコンディションづくりが必要となります。当院では、熱心な理学療法士が最新の筋力測定器やバランス矯正器具を用い、運動機能や深部感覚回復を促し、筋力の回復・増強リハビリテーションを行い、サポートしていきます。

競技力向上

スポーツは記録や技への挑戦です。「根性」だけでは、活躍は期待できないばかりか、かえって新たな障害を生むことになりかねません。スポーツ医学はケガなどの「マイナス面」を治療し、筋力強化などを加え、「プラス面」に高めることで競技力向上を目指します。

スポーツの素晴らしさ

「スポーツ都市」を宣言する街苫小牧では、多くの老若男女たちがスポーツを楽しまれています。また、伝統ある王子製紙アイスホッケー部を頂点とした、駒大苫小牧高校アイスホッケー部など全国大会で活躍する多くのホッケーチーム、甲子園に連続して出場校を送り出している胆振地区の高校野球チーム、あるいは多くの世界大会で活躍する選手を輩出しているスピードスケート競技などのハイレベルな競技選手たちが、この地域で活躍されています。
彼・彼女達の活躍は多くの方々に勇気や元気を与えてくれます。今後も多くの方々が、スポーツ傷害を克服しスポーツを楽しみ、競技に復帰できるように努めるのがスポーツ医の責務です。

スポーツ外来とは

日常行っている趣味としてのスポーツや、中高生・大学生・プロ選手のスポーツ部活動における外傷・障害、小学生のスポーツ少年団における成長期特有の障害、そして中高年者の生涯スポーツなどを扱う専門外来です。
整形外科では、平成十六年度に肩・肘の権威である鈴木克憲医師を中心に開設しました。経験豊かなスポーツ専門医が最新のMRIや各種検査を基に正確な診断、最新の知見に基づいた治療を行います。もちろん、予防が一番重要ですが、万が一スポーツ傷害に陥った時には、早期診断・早期治療がスポーツ復帰への一番の近道です。お気軽に受診して下さい。


わかりやすい医学教室