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王子総合病院

わかりやすい医学教室

進行すると失明につながる緑内障について

みなさんは、緑内障という病気をご存知ですか?おそらく聞いたことがないという方はいないと思いますが、正しい情報以外に間違った思い込みも氾濫しています。緑内障は最近の調査では中途失明の原因の1位になったという報告もあります。そこで今回は緑内障についてお話します。

 

2007.4 らいふNo33 
眼科 北谷 智彦

緑内障とその種類

緑内障は、目の神経である視神経と眼底をつなぐ乳頭部に障害が起こり、徐々に物を見る範囲である視野が欠けていく病気です。(図1)以前は眼球の硬さ(眼圧)が高くなり、視神経が圧迫されて障害が起こると考えられていましたが、最近では眼圧は正常なのに視神経が障害を起こすことが分かってきました。この正常眼圧緑内障(NTG)は日本人には特に多いとされています。


図1

緑内障は先天性のもの、続発的に起こるものもありますが、基本的には、眼球内の水(房水)が眼球外に流出する出口(隅角)の形によって開放隅角緑内障と閉塞隅角緑内障に大別されます。正常眼圧緑内障は前者の開放隅角緑内障に属します。
正常眼圧緑内障を含む開放隅角緑内障は、初期には自覚症状がなく、両眼で見たときは欠けたところが補われるため、視野の欠損が進んだときにようやく異常に気づくことが大半です。
これに対し、閉塞隅角緑内障は眼球内の房水が外に流出する隅角がせまく、眼圧が急激に上昇し、急な頭痛や眼痛、吐き気など、いわゆる緑内障発作を起こし、対処が遅れると失明する危険性があります。風邪薬、安定剤、睡眠剤などには、「緑内障では注意」と書かれているものがありますが、これは閉塞隅角緑内障に対する注意であり、開放隅角緑内障では問題ありません。また閉塞隅角緑内障でもレーザー治療を行った場合、緑内障発作の心配がなくなります。

緑内障の診断と治療

緑内障は知らず知らずのうちに視野が欠損し、治療を行っても視野は元には戻りませんので、早期発見、早期治療が大切です。(図2)検査は眼底検査、眼圧検査、視野検査があります。眼底検査は眼に光を当てて、視神経乳頭を観察しますが、緑内障になるとその凹みが大きくなります。この検査は成人病検診の機会には、眼底写真を撮って調べます。眼圧の正常値は十から二十一ミリ水銀柱とされていて、眼圧が常に二十一ミリ水銀柱を超えていれば眼圧が高いとみなされます。眼底検査で視神経乳頭陥凹の拡大を認めた場合、常に眼圧が高値の場合などに視野検査を行います。緑内障と診断するためには眼科での視野検査が必須になってきます。


図2

もちろん、視機能に異常がないか自分自身でチェックすることも大切です。簡単で検出率が高い方法として「テレビの砂嵐画面」を使ったものがあります。これは番組を放送していない時にザーと音が流れている画面を使うものです。砂嵐画面中央にシールなどで印をつけ、片目ずつその中心点をみつめながら、欠けて見えない部分がないかどうかで視野チェックをするものです。(図3)最近ではインターネット上で視野検査の簡易バージョンで手軽に自己チェックができるサイトもあります。(URL:http://www.ntg40.jp
緑内障に対して唯一確実な治療は、眼圧を下げることです。正常眼圧緑内障においても、病気になったときよりも低い眼圧を維持すれば、病気の進行を抑えられることが分かっています。治療は副作用の少ない点眼薬から始め、十分な効果が得られなければ種類をふやします。それでも効果が不十分な方には内服薬や手術などを検討します。また緑内障の発作予防のためにレーザー治療を行うこともあります。
日常生活の留意点でよくお茶について聞かれますが、コーヒー、お茶などのカフェインは度を越した過剰摂取でなければ問題ありません。未だに緑内障ではコーヒーは禁忌と思っている方もいるようですが、日常コーヒーやお茶を飲む程度で体内に入るカフェインでは眼圧を上げないことがわかっています。


図3

最後に

緑内障はきちんと治療を続けていれば、大半の方が長い年月にわたって視力、視野を維持することが出来ます。その反面、治療は生涯にわたることになります。正しい知識を持ち、毎日の点眼などの治療をきちんと続けていくことが大切です。(図4)


図4


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