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王子総合病院

わかりやすい医学教室

めまいの話

めまいとは?

広辞苑によると、めまいは「目眩・眩暈:めがまわること,目がくらむこと。げんうん」と定義されています。めまいはありふれたもので,日常生活の中でも体験する事が多い症状です。健常人でも,「地震かな」と周囲のヒトに尋ねた経験もあると思います。めまいを定義すると,安静にしている時あるいは運動中に,自分自身の体と周囲の空間との相互関係・位置関係が乱れていると感じ,不快感を伴ったときに生じる症状とされています。一般的には自分自身か,または周囲が動いていないのに動いているという違和感のあるあやまった運動感覚を感じているときに,めまいがあると訴えることが多いようです。具体的にはぐるぐるまわる感じ、ふわふわまたはゆらゆらする感じなどで訴えられたいます。

めまいの原因は?

一概にめまいと言っても、実際にはその原因は様々です。人間の脳は内耳の前庭(三半規管や耳石器)からの情報、目からの視覚情報、筋肉や関節からはいる体の重心のバランス情報(体性感覚)を統合して姿勢の維持、平衡覚をとっています。これらのどの部位が障害されても、脳へ誤った情報が伝えられ、めまいという症状が起こりうる訳です。回転性の激しいめまいや嘔気を伴うめまいでは、眼振という自発的な目の動きがみられる事も多くあります。このようなめまいは内耳性のめまいであることが多く、聴力障害、耳閉感や耳鳴が随伴する事もあります。また、同様なめまいのなかで、手足のしびれ、ろれつが回らない、麻痺、強い頭痛などが伴う場合は、脳出血や脳梗塞の可能性も否定できません。
その他、めまいという症状で受診される患者さまの中には、意識障害や眼前暗黒感をという症状が伴っている場合があります。このような場合は、一過性の脳虚血障害が考えられます。若年者でたちくらみ症状が強い場合は起立性低血圧症などが多く、高齢者で頸部の動き(伸展、屈曲)によって生じるような場合、椎骨脳底動脈循環不全症などが考えられます。

代表的めまい疾患の特徴

良性発作性頭位めまい症
頭をある特定の位置に動かしたり、寝返りをうったりした時に短時間の回転性めまいを生じるもので、吐き気を伴う事も多くあります。耳鳴や難聴が起こる事はありません。原因は内耳の耳石器の機能異常と考えられています。めまいを起こす頭位を繰り返す事で、めまいは徐々に改善してきます。回転性めまいで最も多い疾患です。↑耳鼻咽喉科
メニエール病
回転性めまいを繰り返す疾患です。同じ内耳性めまいの良性発作性頭位めまい症と較べると症状は強烈で、めまいの持続時間も長く、めまい以外に耳鳴や難聴を伴う場合もあります。多くの場合吐き気を伴います。めまい発作がおさまれば聴力も改善する事が多いですが、発作を繰り返すごとに聴力は悪くなってゆきます。原因は内リンパ水腫(内耳のリンパ液が過剰になって起こる)といわれていますが、すべて解明されていません。内服を主体に治療します。↑耳鼻咽喉科
突発性難聴
ある日突然に難聴が出現する病気であり、激しいめまいを伴う事もあります。めまいが随伴する場合は難聴も高度な場合が多く、難聴は治りが悪い場合があります。めまいは徐々に改善し繰り返すことはありません。原因は不明ですが、内耳のウイルス感染や内耳血流障害などが考えられています。すぐに受診が必要です。↑耳鼻咽喉科
前庭神経炎
風邪をひいた後などに起こることが多いといわれ、ある日突然激しい回転性めまいが起きる疾患です。難聴や耳鳴は伴いません。めまいは徐々に改善し繰り返すことはありません。ウイルス説が考えられています。↑耳鼻咽喉科
椎骨脳底動脈循環不全症
めまいと同時に視覚障害や意識障害(気が遠くなる感じ)を伴うことが多い疾患です。めまいの種類は回転性が多いですが、浮動性の場合も有り、眼前暗黒感もみられます。原因は脳を流れる椎骨動脈の血流量減少が考えられています。画像診断が有効です。↑脳神経外科
脳梗塞によるめまい
構音障害(言葉がしゃべりにくい、ろれつが回らない)、意識障害(気が遠くなる)視覚障害(ものが二重に見えるなど)などの神経症状が主症状で、初期には内耳性めまいと同様の症状があらわれることもあります。小脳や脳幹梗塞が原因となることが多くみられます。↑脳神経外科
脳出血によるめまい
延髄や小脳などの出血ではめまいが起こることがあります。頭痛、意識障害、半身のしびれや運動障害、麻痺を伴うことが多く早急な対応が必要です。↑脳神経外科
起立性調節障害によるめまい
立ちくらみ様のめまいが主体で、他に起立時に気分が悪くなったり、入浴時にも同様の症状があらわれたりします。朝なかなか起きられず、午前中調子が悪いなどの症状が見られることもあります。思春期や若年成人に多い疾患で、自律神経の調節障害(起立性低血圧症)によって起こります。臥位と立位での血圧変動、脈拍の変動、症状から診断します。↑内科系

その他めまいに関連する疾患は多種ありますが、随伴する症状やその性状を知ることで、大半のめまいはある程度分類できるものと思います。病院に受診した際に症状が軽減していることも多々あり、問診が非常に重要な疾患です。


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