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王子総合病院

わかりやすい医学教室

頚部内頚動脈狭窄症について

2014.1 ライフNo60 
脳神経外科 本間 敏美

 

頚部内頚動脈狭窄症は脳梗塞の原因のアテローム血栓症に分類されております。食事・生活習慣の欧米化により近年、増加しております。内頚動脈狭窄症に対する治療として内科的薬物療法、内頚動脈血栓内膜剥離術、経皮的頚動脈ステント留置術があります。内科的薬物療法に関しては高血圧、高脂血症、糖尿病、禁煙等の生活習慣病の管理の他、抗血小板薬の内服があります。内頚動脈血栓内膜剥離術(CEA)(図1a/b)は全身麻酔下で頚部を切開して、頸動脈を露出して動脈壁を切開し、内部の血栓、コレステロール粥腫を取り除いて、動脈壁を縫合します。経皮的頚動脈ステント留置術(CAS)(図2a/b)は局所麻酔下で、足の付け根よりカテーテルを挿入した後、バルーンで狭窄部を拡張して、ステントを留置します。CASは新しい器具により日進月歩の治療方法であり、CEAは手順の確立された手術法です。また、内科的薬物治療は新薬および併用療法の臨床試験結果も明らかになり年々成績が向上しております。

症状のある症候性と症状のない脳ドック等で見つかった無症候性では治療方針に違いがあります。症候性の時は、脳梗塞の原因が頚動脈狭窄にあり狭窄度や粥腫の性状を考慮して観血的治療をおこなうべきです。しかし、無症候性の時は観血的治療により合併症が起きて現在の生活が奪われる可能性もあります。私も治療依頼を受けたからには合併症ないように計画するのですが、ゼロにする事は残念ですができません。治療医とよく相談して起こるかもしれない合併症に関して納得されて治療されるべきであると思います。

また、頚部内頚動脈狭窄症は心筋梗塞、閉塞性動脈硬化症などの動脈硬化性疾患が合併している例は少なくありません。観血的治療の周術期に心筋梗塞、下肢虚血をおこすこともあり、致命的になる可能性もあります。

当科常勤医は日本脳神経外科専門医および日本脳神経血管内治療専門医であります。観血的治療であるCEAもCASも執刀しております。CEAとCASにはそれぞれ利点・欠点があり、実体験に基づいた説明が可能であります。また、当院は総合病院であり、各科医師とともに治療ができる環境です。
もし、内頚動脈狭窄症といわれたら当科外来に相談してみるのが良いと思います。

 

図1 a/b

図2 a/b


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