文字サイズ
背景色
  • お知らせ
  • フロアマップ
  • アクセス
  • お問い合わせ

王子総合病院

わかりやすい医学教室

家の中でのこどもの事故を防ぎましょう

2024.10 らいふNo103
小児科医師 小林徳雄

交通事故、水での事故など、外の世界はお子さんにとって危険がいっぱいです。でも、安全なはずの家庭の中にも危険はあります。すでに充分気をつけていらっしゃるとは思いますが、一緒に確認していきましょう。

風呂でおぼれる

おぼれる事故を経験した保護者の8割以上が「悲鳴や助けを求める声が聞こえなかった」とも言われます。 
こどもは声を出さず、静かに沈みます。たった3cmでも、乳幼児はおぼれます。

窒息

赤ちゃんは口や鼻をおおったものを自力で取ることができません。思いもよらないもので窒息する可能性があります。危険なものは、周りから遠ざけてあげましょう。

  • ピーナツ(節分でまく落花生も同じ)
  • 豆類、こんにゃくゼリー、野菜スティッ ク、アメ、キャラメル、ポップコーン、甘栗
  • 柔らかい布団
  • おもちゃの部品 硬貨、ボタン電池
  • 袋を頭にかぶる
  • コード・カーテン・ヒモを首に巻き付ける

誤飲

生後7~8カ月頃から急増し、3~4歳頃までよくみられます。特に10カ月くらいになると、手にしたものを何でも口に運びます。もしも起こってしまったら、いつ、何を、どれだけ飲んだか急いで確認を。咳き込みがあれば気管・気管支に詰まっているかも。吐き気やおう吐がある場合、食道・胃に入ったかも。

  • 禁煙が一番、たばこや灰皿を置きっぱなしにしない、電子たばこも危険なのは同じ(含有ニコチン量が不明=安全性が不明)
  • 薬や化粧品は引き出しや戸棚に入れる
  • 小さなものはこどもの手の届かないところへ 
  • キッチンで洗剤やアルコール類を放置しない
  • ボタン電池や磁石(食道や胃に穴が開くかも)、コインを放置しない
  • 緊急性が高く、吐かせてはいけないもの
    →灯油、ガソリン、シンナー、マニキュア除光液など(揮発性ガスを吸い込んで、 化学性肺炎を起こす危険がある)

転倒・転落

乳児は全身に対して頭が大きく重いので、転倒・転落すると頭を強く打ちやすいことを覚えておきましょう。階段、ベッド、遊具、イスやソファー(まだ寝返りをうたない時期でも転がって落ちます)などから転落します。2~3歳になると自分で踏み台を使って上れる場所も増えますので、高さのあるベランダや窓からの転落も起こります。

  • ベビーベッドの柵は必ず上げる
  • ものに躓いたり滑って転んだりしないように床は整理整頓を
  • 階段には乳幼児用移動防止柵を取り付ける
  • ベッドやイス、ソファーなどの上で遊ばせない
  • 風呂場には転倒防止のマットを敷く
  • 踏み台になりそうなものをベランダや窓の近くに置かない
  • 窓が開きすぎないようストッパーの取り付けを考える

熱傷

熱い液体(ポット、コーヒーメーカー、カップ麺、味噌汁、お茶など)の取扱いには注意が必要です。炊飯器の蒸気口に手を当てる、炊きたてご飯に手を突っ込む、魚焼きグリル のふたに触る、コンセントに差してあるプラグをなめるなど、こどもの思わぬ行動が熱傷へとつながります。

  • テーブルに熱いものを置くときはこどもの手の届かないように
  • テーブルクロスを使わない
  • 炊飯器・ポットは手の届かない高さに配置する  
  • 熱いものをこどもから遠ざける 
  • 抱っこでご飯を食べさせる場合も十分注意を
  • 小さいこどもを台所に入れない

起こってしまったら

  • よく冷やしてあげることが最も大切、市販されている冷却用シートでは冷えません
  • 熱湯などをかぶった場合には、服の上からでも流水で冷やしましょう

熱中症

こどもは体温調節機能が未熟で熱 中症になりやすいので、気をつけてあげましょう。

  • こまめな水分補給をする
  • おしっこの量や回数に気を配る
  • 気温と湿度にあわせて衣類を調整する
  • クーラーがあれば適切に使用する

異物

こどもは好奇心旺盛で、時には大人では考えつかないようなことを起こしてしまいます。小さなものを目や耳や鼻の中に入れて取れなくなることがあります。また、こどもは怒られるのを恐れて取れないことを話したがりません。いつもと違う仕草に気がついたときは「何か入れた?」、入れたとしたら「何をいつ頃入れた?」と優しくたずね、正確な情報を集めましょう。

  • 砂 虫 植物の切れ端 ペットの毛  BB弾・ビーズなどの小さなおもちゃ 豆類 パチンコ玉
  • 消毒液やトイレ洗浄液などの化学品が 転倒したものを、箸や歯ブラシなどでつく

こどものことでお困りでしたら、かかりつけ医へご相談ください。


わかりやすい医学教室