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王子総合病院

わかりやすい医学教室

耳、鼻、のどの病気について

耳、鼻、のどの病気と言っても、範囲は広く、その種類は多岐にわたります。今回は、耳鼻咽喉科領域の最新の情報も盛り込んで、その一部について解説したいと思います。

 

2001.4 らいふNo9 
耳鼻咽喉科 安達 俊秀

難聴について

難聴は、大きく分けると伝音性難聴と感音性難聴にわけられます。伝音性難聴とは、外耳や中耳に原因がある難聴のことで、一方感音性難聴とは、内耳やその奥の音を伝える神経に原因がある難聴をさします。伝音性難聴をおこす疾患の代表的なものは、耳垢や中耳炎などです。感音性難聴の原因には、突発性難聴、騒音性難聴、老人性難聴などがあります。難聴の原因によっては、突発性難聴のように治療を早くはじめることにより改善率が上がる疾患も含まれておりますので、難聴がおこったらなるべく早くに耳鼻咽喉科を受診することが必要かと思います。また「あなたの難聴は、治らないよ。」といわれ、あきらめている人はいないでしょうか。その場合には、補聴器があります。「補聴器は、雑音ばかり大きくなって」などとよく耳にしますが、これは補聴器のあわせ方が悪いのです。どんな高価な補聴器もフィッティング(補聴器をあわせること)が悪いと、雑音を増やすだけの箱になってしまいます。北海道に数名しかいない補聴器適合判定医の私にまずは相談してみてください。

慢性副鼻腔炎

慢性副鼻腔炎とはいわゆる蓄膿症のことで、副鼻腔と呼ばれる顔面の空洞に炎症を起こす病気です。症状としては、黄色鼻漏、嗅覚障害、鼻閉、頭痛、頭重感などがあります。鼻の中にはいわゆる鼻茸が形成される場合もあります。以前この疾患は、非常に難治なものでした。しかし現在、軽症例は、マクロライド系抗生物質(のみぐすり)により、大多数が完治するようになりました。中等症や重症例でも以前のようにくちびるをめくってやる手術は、あまりおこなわれなくなり、内視鏡手術が主になりました。内視鏡手術は、改善率もよく、術後頬が腫れないので非常に優れた手術であると思われます。当院でもすでに数十人の患者さんがこの手術を受けられ、大多数の方に満足をいただいております。

 

アレルギー性鼻炎

アレルギー性鼻炎は、アレルギー体質の人の鼻腔内に抗原(原因となる物質)が入ると、くしゃみ、鼻水、鼻づまりなどがおこる病気です。1年中症状のある通年性アレルギーと一時的な症状の季節性アレルギーに分けられます。通年性は、ダニや家のほこりが原因になることが多く、季節性は、花、木、雑草などの花粉が原因になることが多いとされています。アレルギーであることが診断されたならば、血液検査で抗原の種類を調べましょう。抗原を避けることが治療の基本となるからです。抗原を避けた後は、薬物治療がおこなわれます。最近では、眠気のほとんどない抗アレルギー薬も発売されていますので医師に是非ご相談ください。また、鼻づまりの強い患者さんには、レーザー治療や手術治療なども適応となります。

咽喉頭異常感症

のどの違和感を訴える患者さんは、比較的多く、腫瘍や炎症など原因が明らかなものもありますが、原因がはっきりしないのにのどの違和感を訴える場合を咽喉頭異常感症と診断します。咽喉頭異常感症は今まで精神的な病気とすまされているケースが多く見受けられましたが、最近になって胃酸の逆流が原因となって咽喉頭の異常感が出現しているケースがあることがわかってきました。このような患者さんにPPIと呼ばれる胃薬を投与するとうそのように症状が良くなります。このような症状を持つ患者さんは、一度専門医の診察を受けることをお勧めいたします。

インフルエンザ

インフルエンザがどうして耳鼻咽喉科の病気かと不思議に思う人も多いでしょうが、咽頭痛、鼻水、咳などを伴うことが多いので大人は、耳鼻科を受診されるケースが比較的多いのです。インフルエンザの他の症状としては、高度な発熱、腹部症状、関節痛などが上げられます。インフルエンザは、現在迅速検査キットの発売により鼻の中をこするだけで10分ぐらいで診断がつきます。発症48時間以内であれば、ウィルスの増殖を抑える薬(今年2月に発売されたばかり)を使用し症状を緩和させられます。ただしあくまでも基本は、ワクチンによる予防です。お忘れなく。

最後に

耳、鼻、のど、くびに異常を感じられましたらお気軽に耳鼻咽喉科医にご相談ください。親切、丁寧をモットーとさせていただいております。
当院耳鼻咽喉科は、現在医師2名体制で診療しております。外来診療は、月曜日から土曜日の午前中と月曜日の午後となっております。火曜日午後は検査日で、水・木・金の午後は手術日となっております。
対象とする疾患は、耳・鼻・のどのあらゆる疾患と頸部の腫瘍、甲状腺疾患、顔面外傷などです。手術は、年間200例ほどで甲状腺疾患がこの中の約40例を占めています。蓄膿症の内視鏡手術もおこなっておりますのでご相談ください。
外来では、患者さんに患部をなるべく画像でお見せすることを心がけています。CCDカメラに内視鏡をつないで鼓膜や声帯をお見せすることにより、病気に対してより深い理解を得ることができます。またこの3月には、電子スコープ内視鏡(精度の高い内視鏡)が導入され、より確実な診断、癌の早期発見などに効果を発揮するものと思われます。


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