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王子総合病院

わかりやすい医学教室

皮膚の病気について

皮膚の病名は教科書などをみると、気が遠くなるくらいいっぱいの名前が並んでいますが、実際の現場で毎日のようにお目にかかるのは、そんなにたくさんあるわけではありません。毎日外来に来る患者さんのほとんどは、30から40くらいの病名の中に含まれるようです。30ほどでも皮膚の病気の名前は難しい漢字で書かれていて、一見難解そうです。
実はおおざっぱに言えば、大きく3つか4つに分けられます。その皮膚の病気の3本の柱についてご説明します。

 

2001.10 らいふNo11 
皮膚科 外舘 晃

1.湿疹について

皮膚が赤くなったり、熱くなったり、痛かったり、痒かったり、あるいは腫れたりしたら、炎症を起こしたという言い方をするのですが、その状態が続いた時、湿疹といいます。ですから皮膚の病気の半分以上が湿疹といってもいいくらいです。
ただしその中から、ばい菌が入って化膿したものや、水虫の菌によるものは除きます。それらのものに関しては、後程お話いたします。
湿疹といってもいろいろなものがあります。

乾燥性湿疹
生理的に皮脂が少ない年頃というのがあって、その年代は小児から学童になる時期にかけてと老人期です。
特に冬場は、皮膚の乾燥から肌があれて、湿疹がひどくなり、痒みが増して、掻き崩して湿疹を悪化させます。皮膚が乾燥するとより少ない刺激を痒みとして感じてしまい、冬場に湿疹が悪化する大きな原因となります。
アトピー性皮膚炎
アトピー性皮膚炎は、生まれつき皮膚の防御力が弱く、乾燥しやすい肌で、なおかつアレルギー素因を持っていて様々なものに反応して湿疹が出やすくなります。
しかしながら、大人になるにしたがって、症状がだんだんと落ち着いていく人が多いので、あまり悲観的にならず、希望をもって気長に付き合う心構えが大切です。
赤ちゃんの時に出てくる湿疹といわゆるアトピー性皮膚炎は初めは見分けがつかず、1歳くらいまでに、赤ちゃん湿疹は軽減するのに対して、アトピー性皮膚炎の子はだんだんと皮膚の乾燥などの特徴が出てきます。ですから最初はアトピーかどうかあまり厳密に決めないで、1歳くらいまでにその後の方針を決めていければいいと思います。
夏場も皮膚に様ざまな湿疹が出やすい時期です。いろいろな植物にかぶれた方も、外来に来られます。また、虫刺され、あせも、日光湿疹なども夏に多い湿疹の仲間です。

2.真菌症について

真菌というと聞きなれない言葉ですが、いわゆるカビです。我々が良く知ってるものの中には水虫があります。
その他にもカンジダやでんぷうという種類がよくみかけられます。

水虫
水虫は、足の裏に出るものが一般的ですが、股に出たらいわゆるいんきんたむしで、菌の種類は水虫と一緒です。
水虫で油断出来ないのが爪の水虫です。爪の中に水虫が入ってしまうと爪が白く濁って分厚くなってきます。
爪の中が粉状になってボロボロ崩れることもあります。

カンジタ
カンジダ菌は皮膚に常にいる菌なのですが、身体が疲れたり、病気で弱って抵抗力が落ちた時などに、増えてくることが多いようです。
カンジダ菌が増えてくると、見た感じ赤くなって、ジクジクして皮がむけるような感じになります。
出やすい場所は股などの外陰部の他に、脇の下やお臍の周りなどです。手の指と指の間に増えるケースもあります。
でんぷう
真菌でもうひとつ見逃してはいけないものに、でんぷう菌によるものがあります。比較的若い人の胸や背中に白あるいは茶色で丸く出てきて、表面が粉を吹いた様に出てきます。
水虫もカンジダもでんぷうも、治療は塗り薬でよくなります。しかしながら、爪の水虫はなかなか治りづらく、飲み薬と塗り薬を一緒に使う場合も多いです。

3.感染症について

皮膚にばい菌やウイルスといった眼に見えないとても小さな生き物がついて悪くなる病気のことを感染症といいます。

飛び火
飛び火は、黄色ブドウ球菌というばい菌の毒で皮膚が解けてしまい、浅い水ぶくれがとびとびにでき赤くなります。
手で触ることにより、体中に広がるばかりでなく、人に移ることも多いので、小さいお子さんなどの場合は、薬を塗ったあと触らないように、包帯でぐるぐる巻きにします。
水いぼ
水いぼはウイルスによって起こされる病気です。
体のあちこちに、小さなつぶが出てきて、だんだん増えます。プールなどで人から人へ移ることが多いと言われています。ばい菌がひとたび皮膚の深い所に入ってしまうと、皮膚の中は意外と弱く、ひどく腫れ上がってしまうことがあります。ひどい場合には膿がたまって切れ目をいれて搾り出さなければならないこともあります。
これらの感染症は一般的には、抗生剤といわれるばい菌の薬を塗ったり、飲んだりして治療します。

皮膚科の紹介

皮膚科は、当院で数少ない常勤医師一人で診療に当たっている科であり、最小の科ともいえると思います。
しかしながらその歴史は意外と古く、昭和の時代から歴代の諸先輩達により途絶えることなく営まれてきたと聞きます。
外来診療は月曜日から土曜日までの午前中と月曜日と木曜日の午後に行っております。それ以外の午後は手術や往診、院外の往診などに当たっております。
今回お話をした水虫や、湿疹かぶれ、アトピー性皮膚炎、蕁麻疹など日常我々がよく見る疾患から、大学と連携をとりながら、尋常性乾癬や水疱性疾患などもフォローしております。外来には紫外線照射の機器もあり、乾癬の治療や白斑症に威力を発揮しています。
今後の課題および目標としては、町の規模や病院自体の規模からいっても、現在はとてもこじんまりと営んでおりますが、より適正な規模に拡大を図るため成長を続けることと、重度の熱傷などに対応できる体制を目指すことです。
その他にも外科的な治療を充実させる等課題は山積みですが、少しづつ向上を図りたいと存じます。


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