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王子総合病院

わかりやすい医学教室

AEDを用いた心肺蘇生について

2018.07 らいふNo78 
麻酔科 長谷川 源

 

AEDは自動販売機や公共の場で見かけたことがあると思います。しかしながら、実際に使用した方は少ないと思います。今回はAEDの使用法についてお話しさせていただきます。
AEDは平成16年から非医療従事者でも使用可能となり、10年以上が経過しました。平成27年度のデータでは、一般市民の方が目撃した心原性心肺機能停止傷病者のうち、心肺蘇生を実施した傷病者数は56%となっています。除細動(電気ショックの使用)した例も1103人含め傷病者は生存率が1.8倍になりました。

また、吉村らの報告によると青森県の八戸市において、公共のAED使用の際に、26.7%は偶然居合わせた医療従事者が行ったというデータがあります。
「人口密度の低い地域における院外心停止に対する公共のAED使用の検討」よりつまり約75%は市民の方だけでAED使用していることになります。
急にやれと言われても・・・。
備えあれば憂いなしです。

AEDが必要な場面

誰かが倒れている!目の前で人が倒れた!
そんな時は自分自身の安全を確保し、声かけや肩叩きで反応があるか確かめます。
―肩を叩いても反応がない。呼吸も止まっていそう。
この時はまず、「誰か来て!」と人を集めます。
一人に119番通報を依頼し、もう一人にAEDがあれば持ってくるようにお願いします。心肺蘇生の方法等を電話で指示してくれるので、電話をつないだ状態にしてください。

まずは胸骨圧迫

倒れている方の胸とお腹の動きを観察して呼吸を確認します。(10秒以内)。呼吸がない、もしくは普段通りの呼吸でなければ心停止と判断します。
―ほとんど呼吸していない。
直ちに胸骨圧迫を開始します。

圧迫位置は胸の真ん中、胸骨下の半分。強く(5-6cm沈むまで)、速く(120-150/分のテンポで)、絶え間なく。

AEDが到着した!

① AEDが到着したらすぐに電源を入れます。機種によっては、AEDのフタをあけると自動で電源が入るものもあります。

②AEDのケースに入っている電極パッドを素肌に直接貼り付けます。

安全確認をして除細動ボタンをON

③ 「離れてください。心電図の解析中です」との音声メッセージとともに、AEDが自動的に解析を始めます。
④ 電気ショックが必要な場合は「ショックが必要です」と音声でその必要性を教えてくれます。周囲の人が倒れている人に触れていないことを確認して、ショックボタンを押します。

⑤ 電気ショックの後は直ちに胸骨圧迫を再開します。AEDの指示に従い、約2分おきに心肺蘇生とAEDの手順を繰り返します。AEDはこの電気ショックの適応の有無を自動的に判断してくれます。電気ショックが必要でない場合、「電気ショックは不要です」と指示をしてきます。
「電気ショックは不要です」=「心臓が動いている!回復した!」
ではありません。胸骨圧迫を続けてください。
以上が初期対応です。
ポイントは
・すぐに胸骨圧迫
・人を集める

です。

非医療従事者向けの講習がありますのでお薦めです。救急医学会の市民のための心肺蘇生から一部引用しておりますので、そちらもご覧ください。


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