当院はがん診療拠点病院として、がん患者さま全般にがんのリハビリテーションを行っております。平成23年8月に「がんのリハビリテーション」の施設基準を取得して以来、徐々に実績を重ねてまいりました。
リハビリテーションというと、一般的には機能回復を目的とするものをイメージされることが多いかもしれませんが、当科ではこれから起こりうる機能障害の予防(予防的リハビリテーション)やがんが進行中の患者さまのセルフケア能力向上(維持的リハビリテーション)、終末期の患者さまの症状緩和(緩和的リハビリテーション)にも注力しています。
がんのリハビリテーションは、がんそのものの進行や治療の過程で様々な障害が起こるため、身体面だけでなく、精神面も含めたケアが必要になります。
そのため、がん治療の時期や状態に合わせた適切なリハビリテーションを受けることで、患者さまの回復力や生活の質(QOL)を高めることができ、早期に社会や家庭に復帰することが可能になります。
がん治療中や治療後は、消耗した体力に応じて運動量を決め、残存する機能や能力を最大限に活用できるよう行っております。
がんが進行し、今後さらに日常生活に制限を受けると考えられる患者さまには、QOLの維持を目標に、代償動作の指導や補助具などを用いて現在の能力を最大限に活用できるよう行っています。
末期がんの患者さまに対しては、ご本人やご家族の希望を尊重しながら、できるだけ身体面、精神面において負担の少ない動作方法の獲得や痛み・呼吸困難などの症状を和らげるためのマッサージや温熱、呼吸介助、体の位置調整を行うことで質の高い生活を過ごせることを目標にしています。
また、全病棟とのカンファレンスや退院支援カンファレンス、緩和ケアチームカンファレンスにも参加し、積極的に情報交換を行っております。
今後も個々の患者さまとご家族の希望に応じたリハビリテーションの提供ができるよう、チームとして確立した組織としてサービスが提供できるよう努めていきたいと考えております。