王子総合病院は1910年の開設以来、100年以上にわたり苫小牧市を含む東胆振、隣接する日高圏域の基幹病院として急性期・高度急性期医療提供、救急医療体制確保の役割を果たしてまいりました。法人施設として440床の王子総合病院、介護老人保健施設「ケアライフ王子」を有しています。王子総合病院は、地域がん診療連携拠点病院、災害拠点病院、地域周産期母子医療センターの認定を受けるほか、地域医療支援病院の指定を2023年に当圏域で初めて受けました。また、提供する医療の質を担保するために第三者機関である日本医療機能評価機構の認定を継続して受けております。
質の高い医療を提供するためには、人材の確保・育成とともに、充実した施設・設備も重要です。内視鏡支援手術ロボット「ダヴィンチ」、放射線治療装置、PET/CT診断装置をはじめとした最新機器の導入に力を入れております。質の高い医療の提供に加えて、医療従事者の教育・研修は当院の重要な役割です。医師の教育施設として初期臨床研修施設、各種学会専門医指導施設認定を受けるほか、看護職のキャリアプラン達成のため専門看護師、認定看護師、特定行為研修修了看護師の養成を行うほか、医療系の大学・専門学校から多くの実習生を受け入れております。これからの我が国の医療・介護を支える医療人を育成するため、皆さまのご理解をお願いいたします。
安全な医療の提供には、院内の体制整備はもちろんのこと、患者さまのご協力が重要です。患者誤認を防ぐために患者さま自身で名乗っていただくことや、患者さま自身の情報を正確にお伝えいただくこと、さらに転倒防止のための注意点などについてのご協力をよろしくお願いいたします。また、新型コロナウイルスによるパンデミックはようやく収束しましたが、院内感染や重症化しやすい患者さまの感染には今後も注意が必要です。院内でのマスク着用、面会の制限など感染対策に引き続きご協力をお願いいたします。
試算によれば人口減は今後も続き、2040年には高齢者人口も減り始め地域の社会構造は大きく変化していくと考えられます。そうした人口減の中では集約化を含めた地域医療提供体制、介護提供体制の最適化を図っていく必要があります。そのためには、医療者のみならず社会全体で解決への道筋を議論する必要があると考えています。
現在の医療は、一病院内で完結できるものではなく、地域医療機関との連携、医療と介護の連携が必須です。当院では、地域医療機関との連携をさらに密にし、また保健・福祉関係者との協力をもとに患者さまに満足いただける医療の提供に努めてまいります。
今後も地域で質の高い安全な医療を継続して提供できるよう職員一同研鑽を積んでまいりますので、皆様のご支援とご協力をよろしくお願い申し上げます。
理事長・院長
岩井 和浩