災害拠点病院とは、災害時における初期救急医療体制の充実強化を図るための拠点となる医療機関のことで、多発外傷、挫滅症候群、広範囲熱傷等の、災害時に多発する重篤救急患者の救命医療を行うための高度な診療機能や、患者等の受け入れ及び搬出を行う広域搬送への対応機能などを有します。
王子総合病院は平成9年12月25日に災害時における医療の確保及び搬送体制の整備を図ることを目的に、北海道知事により災害拠点病院に指定されました。現在までに基幹災害拠点病院1か所、地域災害拠点病院32か所が道により指定されています。東胆振地域は、製紙工場や石油コンビナートなどの工場群を抱えるほか、今も白い噴煙を上げ続けている樽前山もあり、大事故発生の可能性が高い地域なので常に緊張感をもって有事に備える必要があります。平成24年3月29日には、日鋼記念病院(室蘭)、市立室蘭総合病院と災害発生時における総合支援に関する協定を締結し、胆振地域がより緊密な連携をとりながら医療救護活動に当たれるようになりました。
平成19年度からは、災害急性期(おおむね発災後48時間)に活動できる機動性を有する専門的訓練を受けた北海道DMAT(Disaster Medical Assistance Team)指定医療機関に認定されています。東日本大震災の際には、王子総合病院DMATも派遣され、広域搬送拠点臨時医療施設(SCU)を航空自衛隊千歳基地内に設置し、全国初の広域医療搬送による被災者の受け入れに携わりました。
災害に対する危機意識を向上させ、多数傷病者対応時のチーム医療における連携の重要性を職員全体で共通理解できるように、苫小牧市消防本部の協力のもとに災害訓練を年1回実施しております。また、広域災害・救急医療情報システム(Emergency Medical Information System: EMIS)を活用した訓練による迅速な情報共有意識の醸成やDMAT研修を活用した人材育成に日々努めています。