尿、喀痰、便、膿、血液及び体液など、採取された様々な材料の中から、感染症の原因となる細菌・真菌・ウイルスを検出し(分離培養検査)、その菌種が何であるか(同定検査)、どのような抗生物質が効くか(薬剤感受性検査)を検査します。
その他、薬剤耐性菌(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌や多剤耐性緑膿菌など)を始めとした院内での病原菌の検出状況の把握、資料の提供など、院内の感染管理・対策にも取り組んでいます。
検体を標本にして、グラム染色という方法で細菌を染色し、顕微鏡で観察します。
感染症の原因と推測される菌の有無など、染色性と形態によって判明した情報を報告します。
感染症の原因菌を探すため、十分な栄養を含む培地に検体を接種し、菌を培養します。35℃で1~2日培養し、培地に菌が発育するかを観察します。発育した菌を用いて、どのような性状を持っているかを調べ、菌種を同定します。また、血液検体においては、専用の自動分析器にて7日間培養を行い、菌が発育するかを観察しています。
感染症の原因となっている菌が同定されたら、その菌に対して、どの抗生物質が最も治療効果があるかを調べる検査です。菌の種類によっては全く効果がない抗生物質もあるため、治療のためにとても重要な検査です。検査には通常18時間を要します。
主に結核菌の検査です。検体をチール・ネルゼン法という染色方法で染めて顕微鏡で赤く染まる桿菌の有無を観察します。その後、小川培地という抗酸菌の専用培地で8週間培養を行い、菌の発育を観察します。
また、培養に時間を要するため、早期診断目的として、遺伝子検査を導入しています。
また外注検査として血液検査(T-Spot検査)も行っています。
感染症の原因菌・原因ウイルスを短時間で簡便に検出できる試薬や遺伝子検査機器を用いて、検査を行っています。30分~1時間ほどで検査結果が得られ、迅速診断に寄与しています。
当院では、ノロウイルス、ロタウイルス、アデノウイルス、A群溶血性レンサ球
菌、RSウイルス、ヒトメタニューモウイルス、マイコプラズマ、尿中レジオネラ、
尿中肺炎球菌、CD GDH/CDトキシン、インフルエンザウイルス、COVID-19の
検査を実施しています。
医師、看護師、薬剤師、臨床検査技師、事務員で構成されるICT(InfectionControl Team:感染対策チーム)の一員として、チーム医療にも積極的に参画しています。定期的に病院内を巡回し、薬剤・物品の有効期限や感染性廃棄物、環境のチェックなどを行い、院内の感染防止に努めています。また、薬剤耐性菌を始めとした、病原菌の検出状況をモニタリングして、感染対策に役立つ情報をいち早く提供しています。